咳をしてももう一人

この地に生きていると、買い物袋を持っていたり、恬淡ともくてきなさそうに歩いていればかなりの確率で道を聞かれるのだ

きかれれば答えるのは人の道だけど、今日わたしはついに…
きかれてもないのに答えてしまった

いやどういうことかっていうと、まあバス待ってたらですね

○○町っていう場所に行きたい二人組の婦人がいたわけですよ
露骨な標準語で土地勘のなさが一目でわかる
行き先をメモしたらしい紙をもって二人でおろおろしている

で私が１０分後のバスをまつ間、まずその○○町に行くバスが来た
でも彼女たちは、これは違うんじゃないか、と言いながらそのバスを逃した
それはＪＲバスだったし、バス券持ってたりするのかな、と思ったわけです
しかし彼女はそのバスを見送った後、不安げにどのバスに乗ればいいのか逡巡をつづけている
ていうか行き先案内あるんだから見れば一発なんだけど…と思っていたら、また○○町に行くバスが来た
今度は市バスである。バッチリね。
しかし彼女たちはなぜか乗るのを躊躇うのだ。
なんでよ！　これに乗らなかったらどれに乗るつもりなの！　と私は背後で思っていた。
しかもそのバスには経由地「○○町」と掲示されている。

そして彼女たちは
「これ、○○町って書いてある…でも行かないよね」
と言い出した。

行かない経由地書いてるバスがどこの世界にあるんだよおおおおおお！！！

と思い、私は背後から思わず
「あの、これ○○町に行きますよ」
と言ってしまった。

すると彼女たちは「ああっ、そうなんですね」と慌てて乗り込んでいった。

お節介焼かないたちなんですが、我慢できなかったんだよおおお
一生乗れないよあの調子じゃ
大人達よ、しっかりして！