猫村さんの人々

猫村さんっていうのはかわいらしい見た目なんだけど、大変なお調子者であるという露骨な欠点があり、これが人間のおばさんだったら、いい人だけどかなり煙たいレベルに達しているかも知れないなあと思う。
しかし猫村さんのそのお調子者であるという面は、猫村さんであることによって、すべて許されている。
ようするに猫村さん以外ではなりたなないお調子者ぶりだってことです。
猫村さんじゃなかったらアウトだけど、猫村さんだったらセーフ的な個性ですよね、あのお調子者ぶり。

ただ、実際猫村さんを使役する側である奥様が、今回そのお調子者ぶりに大変な憤慨をしているので(まあ図星指されて舞い上がってるという面もあるが)興味深い。外から見ればセーフだけど、実際猫村さんと接するとアウトなのかもしれないねぇ。
ところで岸さんに対する恋心が奥様にはあるわけなんだけど、その岸さんの前で猫村さんへの怒りを露わに出来る彼女はすごいなという気もする。
わたしだったら猫村さんに怒ってても、表に出さずに鷹揚であるふりくらいはするよね、だって岸さんによく見られたいじゃない、ちょっとでも。
そういうことに気が回らない奥様を、カワイイなーと思わなくもない。

そうたいに猫村世界の人びとは、それぞれにいいところもあれば悪いところもある、つまり人間そのもので、人間そのものなのであと一歩の所でかみ合わなかったりしている。
たとえば少年漫画のヒロイズム的な人物造形に、よいところもあれば悪いところもあるというリアルな人間造形はほとんど不必要なのだろうと思う。少女漫画もまたしかりであろうとおもうし、ハーレクインなんかもそうかもしれぬ。
カテゴライズが不能のこの漫画はほんとうに、デフォルメしながらも、わりと剥き出しで、現代社会に生きる「人間」というものを描いてるように思われる。

嫁姑にいたっては決定的な齟齬を来している雰囲気すらあり、しかもそれは根深い。父親も息子も家庭や家族に対して求めるところが極端に少なく、冷めている。でも猫村さんのご飯が好きで、ふたりとも外のご飯よりいいと言い、それを楽しみに帰ってくる。
何事もそつなくこなし、陰での努力を見せたがらない、もしくは努力を努力とも思わないというスタンスをとるスカした長男は、まるで小学生のように猫村さんに今夜の献立をきいたりしている。
ようするに猫村さんに背負わされているのは、彼女がこの家族に「何かできるのかもしれない」という期待ですよね。ぼっちゃんとの再会という彼女自身の問題と、この、完全に崩壊寸前(もしくはしてるのかもしれない)の家族の再生が、物語の軸であると思うわけですよ…。

で、自らもいいところも悪いところもある人間(猫だけど)猫村さんはこの家族をどうにかできるのか、というのは、今までどんな家政婦も根付かなかった犬神家に、彼女が持ち前の明るさや前向きさ、ひたむきさで根付いてしまった瞬間から、読者にめばえた期待ですよ。
その期待をかかえたまま、いつ決着するのかなあ…みたいなことを思い出してはや2年くらい。

今日言いたかったことは、そろそろ話が大きく動いてほしいということです…っ…!
いやいいんだけどさーこのまま続いても
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